パンツドレーピング誤差調整

手作業によるドレーピングは、慎重に作業してもそれなりの誤差が生じます。特にパンツは、身頃の筒が捻れるなど、大きな不具合を招く原因となるため、正確にこれを修正しなければなりません。

以下の図はドレーピング時における、重要な線を表しています。中でも特に重要なのが前後クリースライン(折山線)です。これはパンツ身頃のテーパー度を表しますが、平面展開時の基準となる線で、これをマークし忘れると、後の作業ができないことになるため、必ずマークするよう心がけてください。


クリースラインの収束点が生成可能な場合の方法

以下のムービーは、誤差を修正するための具体的な手法です。最初の動画は通常のパンツで、クリースラインの収束点が生成可能な場合の方法です。手順を簡単に記します。

1. 前後クリースラインを下方に延長して交点を求めます。この交点「収束点」と呼びます。
2. 前後クロッチから収束点まで案内線を作ります。これを便宜上イエローラインとします。
3. 前後中心線を延長し、交点を作ります。ここにも収束点ができます。
4. 前後中心線が成す角度の2等分線を作ります。これを便宜上オレンジラインとします。
5. イエローラインとオレンジラインの交点をクロッチ位置に設定します(位置は自由に決められる)。
6. オレンジラインの直角線をクロッチに置き、クロッチに於けるハンドルの方向線とします。
7. 尻グリを描きます(原則として前後同型)。
8. 前後股下をイエローライン上の同じ位置に配置します。
9. 清書して完成です。


クリースラインの収束点が生成可能な場合の方法

次はワイドパンツなど、クリースラインがほぼ平行となり、収束点が生成できない場合の方法です。手順を簡単に記します。

1. 前後クリースラインを軸として、前後尻グリ及び内股線を反転します。
2. 前後クロッチを平均化します。
3. 前後股下位置を平均化します。
4. 前後中心線を延長し、交点を作ります。
5. 前後中心線が成す角度の2等分線を作ります。これを便宜上オレンジラインとします。
6. 先に描いてある尻グリ線とオレンジラインとの交点を尻グリカーブのピークにします。
7. 尻グリを描きます(原則として前後同型)。
8. 前尻グリ線と前内股線との交点をクロッチとします。
9. クロッチで前尻グリ線をカットし、後身に付けます。
10. 清書して完成です。