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ドレーピングの必要性

2009/05/10


僕のパターンメーキングはドレーピングで行われると書きましたが、ドレーピングが必要な理由は主にふたつあります。ひとつは前記したとおり合理的な手法だからですが、もうひとつは服やパターンのメカニズムを習得できるからです。ひとつずつ整理してお話ししましょう。

僕が平面でパターンを起こすときは、すでに完成されたプロトタイプがあり、そのパターンを元にちょっとした手を加えれば済む程度の作業の時のみです。仮に元型があっても、例えば素材が異なるとかデザインが異なるとか、元型そのものを変形させる必要があるときは必ずドレーピングでゼロからはじめます。なぜか。その方が早いからです。僕は頭が悪いので特にそうなのかも知れませんが、ああでもないこうでもないと悩みながら元型を変更し、しかも検証のためにどうせトワルを組むのであれば、最初からドレーピングでやったほうが効率的だと考えているからです。 トワルそのものがパターンであり、トワルを組むことがパターンメーキングの本質であると認識するなら、その手法が平面製図だろうがドレーピングだろうが、起こしたパターンを元にトワルを組めばいいのですから、どちらにもまったく問題はないと考えますが、ドレーピングは言い換えるならば半身のトワルを組むのと同じですから、首尾良くそのドレーピングが成功すれば、両身のトワルを組む回数を大幅に減らせるはずです。なぜトワルが必要かで記したとおり、フィッティングまでの行程で我々は何度もトワルを組み直します。その回数が減れば減るほど効率は上がるわけですから、やはり僕にとってドレーピングは合理的な方法だと思えるのです。

さてもうひとつの理由はメカニズムを習得できることです。
例えば肩ダーツの分量がどのくらい必要かという問題を考えてみます。熟練の一流パタンナーだったら平面でそれを表現できるでしょうが、 駆け出しにはまったく見当すら付かないはずです。しかしドレーピングはそれを簡単に教えてくれます。シーチングを素直に張り付けていけば、そのボディーが必然的に答えを出してくれるのです。もちろん分量だけではありません。ダーツ止まりがどの位置に来るのか、ダーツの方向を変えることでプリンセスラインをどこに作ればいいか、平面なら悩むであろう問題のすべてを、ドレーピングが教えてくれます。これが僕の言う眼で考え指先で考えるということなのですが、ダーツは出るべきところに必然的に出るのであって、これを頭で考え無理矢理処理しようと思ってもそうは行きません。

話はちょっと脱線するかも知れませんが、みなさんは衿グリを作ってから衿を起こそうとするでしょう。僕は全く逆の方法でやっています。理想的と思える衿を先に作り、 その衿が素直に座ってくれる衿グリを後から見いだすわけです。これは常識外れな発想だと思いますが、実際やってみると、極めて合理的な方法であることがわかります。衿に対する衿グリも、袖に対する袖グリも、ドレーピングが勝手に答えを出してくれるのです。みなさんの常識はあくまでも平面アプローチからくる論理ですが、なぜこの衿グリにこの衿が座ると解るのでしょうか。何の根拠と必然性があってその衿でなければならないのか、僕にはそこが理解できないのです。

ドレーピングが唯一の方法だとは言いません。しかしドレーピングは上記のとおり、服のメカニズムを知るためには欠かせない手段です。もしみなさんが一流を目指すのであれば、服のメカニズム、パターンのメカニズムはどうしても知る必要がありますが、その手段は、ドレーピング意外にあり得ないと僕は考えています。
 

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