title
HOME I WEBレクチャー I 玉置の考え I 経歴


フードの作り方



フードは衿の延長です。立ち衿がどんどん高くなって、頭頂で縫い合わさったものがフードだと考えてください。したがって作る行程や考え方は衿とまったく同様です。あとはどんな表情にするかを、ドレーピングによって作り上げていくだけです。

高さのある立ち衿とは、例えばスキー用のジャケットやマウンテンパーカなどを想像してください。衿が高くなればなるほど、アゴや後頭部の出っ張りに当たることになり、綺麗に納めることが難しくなります。衿の後が後頭部に押され、いわゆる抜けた状態になってしまった服をよく見かけますが、そういった点に気を配りながら、完成予想図を頭に描きながらのドレーピングが必要になります。注意点は以下のように大別されます。

1. 衿の後中心が垂直に立ち上がるようにする
2. 前下がり(前中心のネックポイント)位置と、前衿の高さ及びゆとり量との関係
3. サイドから前にかけての衿(フード)の立ち上がり方
4. 立体感の演出

さて下の写真はTHE NORTH FACEの定番商品「MOUNTAIN JACKET」ですが、このフードはちょっと複雑な4枚接ぎになっています。頭の形状に合わせて立体的に作ってありますが、ヘルメットをかぶっても使えるフードということで、衿グリも本体もやや大きめになっているのが特徴です。

一方次の写真は、スエットパーカとしては昔からの定番であるCHAMPIONのパーカです。 上のマウンテンパーカの対局に位置する平面的フードだと思いますが、こういったアイテムは、あえて平面的に作ることで、カジュアルっぽい雰囲気を表現できます。両極端なパターンを比較しながら考えると、フードの全体像が掴みやすいかも知れないと思うので、今回は両方を順番に組んでみます。結果はまったくの別物になります。そこがパターンメーキング面白いところですね。

 

img  

img
img

img  
  このページのトップへ  

1. 衿後のポイント

不織布で高さ5cmの長方形の衿を作り、それを自然に取り付けたものです。
ダミーの衿足(首後の立ち上がり)はこの写真のように寝ていますが、その首に沿うように衿を寝かして取り付けてはいけません。

人の首の付き方は様々ですが、自然に立ったときの首の座りは、もっと起き上がって、つまりダミーよりも垂直に近い状態になっているのが普通です。例えば机に向かってパソコンなどを操作している状態ならほぼ垂直になっていますし、山登りなどでちょっと上を見上げた状態では、垂直以上に外傾しています。

抜けた衿は良くないというのが業界の常識ですが、それは上記のような人の動きを考慮しない考え方だと僕は思っています。抜けないことを意識して衿を作ったたがために、人の動きや体型によって、服が前に入ってくるのを阻害してしまうという点に注意しなければなりません。ましてや今回は衿ではなくフードです。この首の上には大きな頭が付いているわけで、この写真のように前傾した(白矢印)フードを作ってしまうと、間違いなく後頭部の出っ張りによって服の入りが阻害され着にくい服になってしまいます。

一方右の写真(下段)はどうでしょう。後がほぼ垂直に立ち上がっていますね。それによってフード本体も垂直に近い状態になり、後頭部が運動や体型の邪魔になるということがなくなります。

問題は衿グリです。写真の衿は高さ5cmの長方形ですから、前中心側が高くなり、このままでは前下がりが不足して身頃に付かないのがわかります。左に定規がありますが、約2~4cm衿の前中心を下げてあげれば、少なくとも身頃の切れ込みより外側に衿グリが来て(写真中の赤点線)解決しそうですね。

そしてもう1点、後中心のネックポイント(俗に言うO点)が、通常の衿付けの位置より下がることに注目してください。上の写真と比べると明白ですが、O点は常に動かしてはいけない点だ、などと考えてはいけません。必要に応じて動くべき所は動かなければならないのです。

 

img

img


img  
  このページのトップへ  

2. 衿と衿グリを作る---立体的なフード

ここで作ろうとしているフードは、冒頭の写真(マウンテンパーカ)のような立体的なものをイメージしています。したがって単純な2枚接ぎではなく、少なくとも3枚接ぎ以上で作られます。

まずは長方形の衿からの補正をし、新たな衿を作ります。上の写真では約4cm不足していましたが、ここでは余裕を見て、前中心で5.5cm下げました。サイドネックポイントに向かって、フリーハンドで衿付け線を描きます。

これをハサミでカットしてダミーに取り付けるわけですが、何度も言うとおり、衿付け線がすんなりと納まったところが衿グリになるわけですから、慎重に、綺麗な線を描くようカットしてください。この線が美しくなければ、美しい衿グリは得られません。

左はカットした新しい衿を取り付けた状態です。衿グリ部分はすっきりと納まりました。 立ち上がり方も問題ないですね。気になるのは前中心のゆとり量でしょうか。もしも前衿が高く、アゴの上まで覆うようなデザインであれば、写真中の白文字で書かれているように、前中心にもっとゆとり量が欲しいですね。

ただし冒頭に書いたとおり、前のゆとり量と前下がりの位置との関係は微妙です。左図のようにゆとりを出した場合、前下がり位置が同じままだと、身頃と衿との成す角度が鋭角になるため、結果として衿の前中心の角度が鈍角になってしまいます。衿の合わせが鈍角になること自体は間違いではありませんが、カッコ悪いのは嫌なので、合わせが直角になるよう衿と衿グリを作り直す必要があります。また前下がりの位置そのものも、すこし下がり気味にした方がいいかも知れません。

 

img

img

img

img

img

img  
  このページのトップへ  

3. 衿と衿グリを作る---平面的なフード

さてここからは一般的なスエットパーカなどで見られる2枚接ぎの平面的なフードをドレーピングしてみましょう。

衿の基本どおり、最初は高さ5cmの長方形からスタートします。
立体的なフードと同じように、後中心がなるべく垂直に立つよう注意しながら衿を作ります。

前下がりの不足分を計測しますが、上記したマウンテンパーカほどにはなりません。それは衿の立ち方と前中心側のゆとりの差から、必然的にこうなってくるのです。 マウンテンパーカは、前下がりの不足分を5.5cmとして衿を作りましたが、この場合は2.5cmほどで足りるようです。

SNPに向かってフリーハンドで衿付け線を描き、ハサミで慎重にカットします。 カットした衿を実際に取り付けたところですが、前側の衿グリ線がヘンでした。マジックで修正を入れ新たな衿を作り直します。
 

img

img

img

img

img

img

img


img  
  このページのトップへ  
Copyright Koichi Tamaki